2014 / AUTUMN-2

青木涼子
Time to Time
-能と現代音楽が出会うとき-

開催期間:2014年11月2日
音と映像をキーワードにした今回のNIKKEI アート・プロジェクトでは、世界的に能の謡と現代音楽のコラボレーションという挑戦を続けている青木涼子さんによる、新しい「能」の世界をご紹介します。なお、本企画は、ヨコハマ創造都市センターで開催中の「Find Asia」と連携して行います。

公演 Performance / アフタートーク After talk

開催日
2014年11月2日
19:30-21:20(19:00開場)
場所
ヨコハマ創造都市センター1Fホール
(横浜市中区本町6-50-1)
定員
70名(応募多数の場合は抽選)
主催
日本経済新聞社 デジタルビジネス局
共催
ヨコハマ創造都市センター
(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)
Find ASIAヨコハマトリエンナーレ2014 創造界隈拠点連携プログラム東アジア文化都市2014横浜
協力
COVERED TOKYO
Far East Contemporaries
OLの恋物語を謡う 能×現代音楽の新たな試み
日経電子版:現代アート入門
日本最古の舞台芸能ともいわれる能楽。ユネスコの世界無形文化遺産にも指定されるなど、世界的にも高い評価を得ているこの日本の伝統芸能が、現代アートとの距離を縮めていることをご存知でしょうか。
公演には、国際的に活躍するクラリネット奏者・山根孝司氏、打楽器奏者・會田瑞樹氏を迎え、国内外の現代音楽作曲家がてがけた3曲を披露いただきます。日本の伝統文化と現代音楽の融合による新たな「能」の世界をお楽しみください。
出演者
青木涼子(能×現代音楽アーティスト)
山根孝司(クラリネット奏者)
會田瑞樹(打楽器奏者)
アフタートーク・コーディネーター
中野仁詞(神奈川芸術文化財団学芸員、第56回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展(2015年)日本館キュレーター)

当日プログラム

第一部
能×現代音楽(約40分)

1オレリアン・デュモン「山伏の祈り」
2馬場法子「共命之鳥」
3小出稚子「恋の回旋曲」
休憩(10分)

第二部
アフタートーク(50分)

プログラムノート

1オレリアン・デュモン「山伏の祈り」(やまぶしのいのり)
for Noh voice and clarinet (2013)

「山伏の祈り」は、謡とクラリネットのための小曲であり、私の室内オペラ《秘密の閨》(能役者、6人の奏者とエレクトロニクスのため)に触発されて作曲されたものである。テキストは、仏教の真言だが、オペラの台本を書かれた小田幸子さんによって書き直されたものを使用した。曲は、ヴァリエーション(変奏)とオスティナート(反復)によって展開され、鬼を成仏させようとする若い僧の戦いを表している。(オレリアン・デュモン)
オレリアン・デュモン(作曲)
1980年フランス北部マルク・アン・バロイユ生まれ。トゥール大学医学部にて音楽療法、リル大学で芸術美学を修了後、パリ国立高等音楽院で作曲をジェラール・ペソンに学ぶ。2012年満場一致の首席で作曲科修士課程を修了、修了作品「秘密の閨」がサラベール財団賞受賞。2013年フランス学士院芸術アカデミーよりピエール・カルダン賞受賞。2010年よりIRCAM研究員。2012-2015年まで、国立高等科学芸術創造探究博士課程(SACRe)の博士研究員。音色と形式との相関の探求に主眼を置いた彼の音楽は、オペラ、カンタータ、バロックアンサンブル曲などの言葉を含む作品や、電子音響作品に結実している。また、日本文化への強い敬意と情熱を反映した作品も多い。
http://www.aurelien-dumont.com/

2馬場法子「共命之鳥」(きょうめいのとり)
for Noh performer and two musicians (2012)

3年前だろうか、「鳥の仏教」という本に出会った。チベットの民衆に古くから読み継がれてきた経典の翻訳本で、実はある仏教徒によって書かれた"偽"経典との事で学問的価値は低いらしいのだが、そのシンプルな童話の様な語りと美しい挿絵、カッコウに姿を変えた観音菩薩がヒマラヤの森の鳥達に教えを説くというファンタジーは、素直に私の心を揺さぶった。元々三度音程に愛着を持つ私は、カッコウの鳴き声もよく自作に用いていたのだが、是以降鳥への憧憬は強くなり、様々な種類の鳥笛を曲に用いる様になった。そんな中、最近また仏教の鳥をみつけた。「共命鳥の縁」である。雑宝蔵経という、今昔物語集の様な説話形式の経典の中に入っている一話で、今回の曲はこの国訳に節と拍子をつけて謡いのパートとしたものがベースになっている(馬場法子)
馬場法子/Noriko Baba(作曲)
1972年新潟生まれ。東京芸術大学卒、同大学院修了。パリ国立高等音楽院作曲科を最優秀で卒業。2003年度IRCAM研究員。ロワイヨモン財団「新しい声」招待、Akademie schloss solitudeのアーティスト・イン・レジデンスに招聘、1年滞在。フランス教育省「カサ・デ・ヴェラスケス」に会員として2年、同外務省のレジデンスプログラム「ヴィラ九条山」に招聘、7ヶ月滞在。日本音楽コンクール2位、Georges Wildenstein賞、武生国際作曲賞受賞。 作品はAGORA、Die Reich、アルシペル、ISCM、Musica、Paris de la musique、ヴェネツィア・ビエンナーレ等様々な音楽祭で委嘱演奏されている。アンテルコンタンポランによる「Pororoca」はミシェル・フォランにより撮影されARTEで放映されている。

3小出稚子「恋の回旋曲」(こいのろんど) for Noh voice and percussion (2013)

丸ノ内OLと、奥手な山手の男のカップルの物語。
歌詞は基本的にOL目線で書かれている。
〈あらすじ〉
どんくさい男をもてあそんでいた華やかなOLミドリちゃん。彼(山手の男)を振り回す小悪魔系。しかし奥手だと思ってナメていた彼から突然男気あふれるプロポーズをされ動揺。うざい、おもい、しつこい、どんくさいと思っていた彼の「おもさ」。それは彼の愛情の深さだったのだ。
前世のDNA。女御の魂はこの悪しきロンドを断ち切るべく、霊媒師である「高田の婆」の姿を借りて(憑依して)ミドリに忠告をする。
「自分と同じ過ちをしてはいけないよ。山科荘司をもてあそんで殺してしまった私のようにならないでおくれよ。」
遊びのつもりだったのにいつのまにか本気になっていた自分に気づくミドリ。
夜の山手線を一周すると本当の気持ちが見えてくる。

「山手線」と能の伝統的な作品である「恋重荷」をキーワードにした作品です。
なぜ山手線?恋重荷とはどういうお話?なぜロンド?疑問はつきないと思いますがこれについては演奏前の解説タイムで詳しくお話しします。最後にこの作品のキャッチコピー候補を作ってみたのでご覧ください。
1:荷物の重さは、愛の重さでした。
2:小悪魔OLと奥手男子、山手線の恋模様。
3:山手線、ぐるぐる回る、恋のロンド。
小出稚子/Noriko Koide(作曲)
1982年千葉県生まれ。東京音楽大学、同大学大学院修了後、2009-2014年財団法人ロームミュージックファンデーション、デンハーグ王立音楽院、文化庁新進芸術家海外研修制度より助成を受け、アムステルダム音楽院およびデンハーグ王立音楽院修士課程にて作曲を学ぶ。現在、ジャワ島の伝統芸術とその在り方に興味をもちインドネシア政府奨学生としてインドネシア国立芸術大学スラカルタ校カラウィタン科に留学中。
鬼子母神不眠ガールズ(自作自演ユニット)、すけべ人間(エロティシズムをテーマにアート活動をするユニット)各メンバー。
第17回芥川作曲賞、第76回日本音楽コンクール作曲部門第2位、聴衆賞、第18回出光音楽賞、2011年度アリオン賞等受賞。