seminar 電子版ビジネスセミナー


AIが人間を超える日は?

 8月30日、日本マイクロソフトの西脇資哲エバンジェリストが「AI最前線」をテーマに、「日経電子版ビジネスセミナー」で講演しました。AIブームの背景から、どのような用途で利用されているのか、豊富な事例とデモを交えたプレゼンテーションでした。以下はセミナーの概要です。

AI活用しデジタルトランスフォーメーション

西脇氏

いま様々な企業が「デジタルトランスフォーメーション」に取り組んでいます。ITを使い、ビジネスをレベルアップさせようとしています。日本企業の場合は「業務の最適化」のように、仕事のプロセスを改善するためにITを活用しようというケースが大半です。一方、フィリピンやインドネシアなどアジアの企業では「顧客とつながるため」という視点が重視されています。また、アジア企業ではデジタルトランスフォーメーションへの関心が一層高く、アジア発の新しいプロジェクトがたくさん生まれています。

デジタルトランスフォーメーションに必要なテクノロジーが、「AI」「ウェアラブル機器」「量子コンピューター」「IoT」「VR/MR」の5つ。なかでも、「AI」はディープラーニングの登場によって第3次のブームの最中です。過去のブームと今回のブームが違うのは、AIが分析する大量のビッグデータの存在、AIが搭載されるスマートフォンやスマートスピーカーなどの「エッジデバイス」が普及したことです。IoTによって得られた膨大なデータを、クラウド上で計算し、スマホなどのデバイスを通じて手軽にアクセスできるようになり、急激に広がっているのです。

小売業、コールセンター、医療・ヘルスケア、農業、金融、自動車・運輸、観光…様々な業界でAIが利用されています。これまで蓄積された過去のデータから傾向を読み取るだけではなく、この先どうなるかという将来を予測することができるようになっています。

西脇氏が紹介したAI活用事例

・エレベーターのモニタリング
 IoTによってエレベーターの稼働状況をモニタリング。呼び出し回数や振動、温度など蓄積した大量のデータを分析し、故障タイミングを予測。熟練技術者よりも精度の高い予想でメンテナンスに役立てています。

事例:エレベーター

・東京湾の船舶のモニタリング
 世界で最も過密航路とされる東京湾は、船舶が衝突するリスクが高い。国土交通省・海上保安庁は船舶の進路を予測することで、衝突予防につなげています。

事例:船舶

・牛の繁殖管理
 九州の牧場では、牛の脚に取り付けたセンサーによって行動をモニタリングし、繁殖タイミングを見極めています。

事例:牛

・医療分野
 米ニューハンプシャー州の医療施設では、在宅を含む1万人の患者を管理しています。ウェアラブル端末によって患者の状況を把握し、治療の優先順位を判定する「トリアージ」もAIに任せています。

事例:医療

ここまで来たAIの認識能力

 マイクロソフトのAIの音声認識が、ついに人間の能力を超えました。人間でも会話の中で音声の誤認識率は5.9%とされていますが、AIで5.1%の記録を達成したのです。AIは目の代わり、耳の代わり、言語処理の代わり、頭の中の知識の代わりとして、人間と同じようなことができるようになってきました。AIが人間の能力を超える「シンギュラリティ」は2045年と言われています。しかし、私はあと4、5年でその時期がやってくると考えています。現在のAIの認識能力がどれほどか、デモで実感してみてください。

デモ動画
 会話を前に進めるAI 女子高生りんな


文脈まで理解する音声認識


画像認識でヒアリを見分ける

略歴

西脇資哲

日本マイクロソフト株式会社エバンジェリスト・業務執行役員
1969年生まれ、岐阜県出身。96年日本オラクルに入社。09年日本マイクロソフトに移籍し、マイクロソフト製品すべてを扱う唯一の日本人エバンジェリスト(伝道師)として活動し、14年より現職。また、IT業界屈指のプレゼン講師、日経電子版提供のラジオ番組「エバンジェリストスクール」(TOKYO FM)のパーソナリティとしても活躍中。