日経×note 読む、書く、つながる―ビジネスパーソンに情報発信の楽しみを

日経×note
読む、書く、つながる
ビジネスパーソンに情報発信の楽しみを

 日本経済新聞社はブログサービス「note」を運営するピースオブケイク(東京・渋谷、加藤貞顕CEO)と資本業務提携を結びました。ビジネスを軸とする経済メディアの日経と、「ミレニアル世代」の若手・中堅クリエイターの情報発信プラットフォームとして成長するnote。両社はなぜ提携し、何を目指すのか。キーマン3人が語りました。

日経×note 左から深津氏、加藤氏、渡辺

加藤貞顕さん(ピースオブケイク代表取締役CEO)

加藤貞顕さん

 noteはサービス開始以来、クリエーターが活躍できる場をつくることに力を注いできました。ただそれはnoteという場所にコンテンツを投稿して終わりではなく、書籍や映画などクリエーターの活動がnoteの外にも広がり、持続できるようにすることを目指しています。
 そして今ではクリエーターばかりではなく、若いベンチャーの経営者たちが自分の理念や会社の情報発信の場としてnoteを利用する例が増えています。たとえば10代で起業してファッションブランドを経営するハヤカワ五味さんは、ビジネスについての考え方やブランドの世界観を積極的に発信し、彼女に共感する2万人以上のフォロワーを抱えています。


深津貴之さん(ピースオブケイクCXO)

深津貴之さん

 最近の消費者やユーザーは製品のスペックではなく、その経営者や企業がどんなメッセージを発しているかで購買を判断する流れが強まっています。ハヤカワさんのような経営者はどんどん増えるはずです。世の中にモノ申したいスペシャリストや経営者たちが、noteの次のステップとして日経の場でも発信し、存在感を高めるようになれば、もっと経済やビジネスが活発になるのではないでしょうか。


渡辺洋之(日本経済新聞社常務取締役)

渡辺洋之

 日経とnoteで一緒にイベントを開催したり、それぞれのコンテンツを掲載しあったりすれば、互いの読者はこれまでにない新しい見方を感じることができるはずです。
 日経電子版が創刊9年目を迎え『新聞のデジタル化』の形は見えてきました。そして次世代の電子版はどうあるべきかを社内で議論すると、若手からnoteの話がよく出てきていました。これまではメディアとして「日経」という組織の価値観を伝えてきましたが、noteはクリエーター個人の価値観が魅力です。私たちの軸である経済ビジネスの分野でも、クリエーターの存在感は大きくなっています。今回の提携は、伝統的なビジネスの世界と新しい世代を橋渡しし、いい意味でぶつかり合う場を提供できるのではないかと考えています。


読者とメディアの関係、一方通行から対等に

深津さん:私は昨年10月にCXO(Chief Experience Officer)としてピースオブケイクに加わり、noteのユーザー体験の向上に取り組んできました。また日経電子版アプリのアドバイザーも3年間務めてきたなかで、両社のシナジーがあると考えていました。ベンチャー経営者本人が考えつくして書いた言葉には今までにない面白さがあります。日経の読者からすると、見たことのない言論や勢いのある世代のメッセージを体験できるようになるでしょう。逆にnoteの読者も、経済界のトップがどんな世界なのか垣間見えるようになります。互いのコンテンツを通して多様な見方が広がるはずです。

渡辺:読者とメディアの関係も変わるでしょう。新しいコンテンツに触れた日経の読者が、次のクリエーターになるかもしれません。これまで一方通行だった関係が、対等になり、融合していくでしょう。結果としてビジネスパーソンを応援することになるというのが、私たちの目的です。

加藤さん:最近では個人の転職活動がnoteなどのブログ上で展開されるのをよく目にします。デザイナーやエンジニアが「会社を辞めました」と投稿すると、すぐに次の仕事のオファーが舞い込んでくるのです。情報発信する個人の力が強くなり、個人とメディアが横並びになってきています。

深津さん:ただ、そのように影響力を伴って情報発信しているのは、クリエーターやIT業界で働いている人たちに限られている印象です。

加藤さん:エンジニア業界は情報発信があたりまえの文化になったことで、労働環境の改善や地位の向上に一役買いました。ただ、今はまだ雇用の流動性は低いですし、大企業のビジネスパーソンが実名で発信することも難しいかもしれません。しかし情報発信の裾野は確実に広がっていきます。この部分こそ、今回の提携で私たちが取り組みたい部分です。

深津さん:大企業のビジネスパーソンは実名で発信するのに炎上リスクを恐れています。しかし、投稿をきっかけにウェブで話題になり、さらに実際のビジネスセミナーに登壇するようになるなどサクセスストーリーが生まれれば、流れは変わるはずです。

加藤さん:インターネットは良くも悪くもコミュニケーションを加速する装置です。noteは役に立つこと、ポジティブな意見が生まれる場としてこだわりを持っています。

渡辺:私たちはその価値観が一致しています。ともすれば殺伐としたコミュニケーションが生まれるインターネットの中で、ビジネスパーソンが正しく、前向きなコミュニケーションをとれる場を生み出すことを期待しています。それが日本のビジネス界全体のレベルを引き上げていくことになるはずです。


3人によるトークの詳細は、noteでもご覧いただけます。

略歴


加藤貞顕(かとう・さだあき)氏(ピースオブケイク代表取締役CEO)
編集者として「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」など話題作を多数手がける。2014年、note(ノート)をリリース。



深津貴之(ふかつ・たかゆき)氏(ピースオブケイクCXO)
THE GUILD代表。ユーザーの使いやすさを追求するUIデザイナーとして日本経済新聞の電子版アプリを監修。2017年10月からピースオブケイクCXO(最高体験責任者)



渡辺洋之(わたなべ・ひろゆき)(日本経済新聞社常務取締役)
2009年から日本経済新聞社の電子版開発プロジェクトの運営を担当。電子版の創刊後は電子版事業運営とデジタル新事業開発を担当する。