100万人読者と対話 深化 コンテンツ・機能ともに磨く


 日本経済新聞 電子版の会員数(有料・無料登録の総数)が3日、100万人に達した。コンテンツはもちろん、スマートフォン(高機能携帯電話)向けなどの機能も拡充してきたことで読者層が拡大。2010年3月の創刊から1年5カ月で大台を突破した。日経電子版は今後もデジタル時代の「新しい新聞」として、読者とともに進化していく。

 小さな一里塚にすぎないかもしれない。100万という数は新聞全国紙の部数と比べれば、大きいとはいえない。インターネットの世界なら、もっとユーザーの多いサイトもある。それでもネットの潮流が既存メディアに押し寄せている今、デジタル技術を取り込んで新聞と読者の結びつきを強め、対話を深化させようとしていることに会員100万人の意義があるのではないか。


 日経電子版は2010年3月23日の創刊以来、2つの課題に取り組んできた。一つは読者一人ひとりの顔が見えるメディアを目指すこと、もう一つは読者が様々な端末でいつでも最新ニュースを見られるような「情報のプラットホーム(基盤)」を築くことだった。


 日本経済新聞社は今年、創業135年を迎える。長い年月をかけて紙の新聞で培ってきた編集力はネット全盛の今日でも意味があると考える。しかし、読者の価値観が多様化するなかで、新聞自らが読者とコミュニケーションを深める努力をする必要があった。読者に個人の属性を登録してもらうことで、それが可能になった。デジタルならではの機能を活用した「My日経」はその代表だ。

電子版の登録会員数
読者と双方向で

 コンテンツでも双方向性を探った。読者参加型の「クイックVote」は政治の節目で大きな反響を呼んだ。例えば菅直人首相の退陣表明について賛否を問い、登録会員の様々な意見を電子版で公開、さらに反応が広がった。


 広告も新聞を構成する重要なコンテンツだ。電子版では読者にどの程度、広告メッセージが届いたかを把握できる。これも会員登録が基盤になっている。


 紙の新聞には優れた表現力がある。見出しの大きさや配置で記事の価値づけが一目でわかる。一度に大量の情報が目に入る一覧性もデジタルでは再現しにくい。それでも「パソコンや携帯電話など紙以外の器で日経の記事を読みたい」という読者の声は日増しに高まっていた。


 電子版はパソコンと携帯電話に加え10年秋以降、スマートフォンでも朝夕刊の記事を読めるようにした。さらに11年7月、時間とともに刻々と変わる電子版の主要ニュース(Web刊)や「ビジネスリーダー」などの電子版独自記事もスマートフォンで読めるように対応、パソコンからだけではなくスマートフォンからも直接、会員登録できるようにした。情報のプラットホームを整備することで読者と「対話の場」が広がり、結果として会員増につながった。


 読者が求める記事は紙でも電子でも提供する。日経の朝夕刊に電子版を組み合わせた「Wプラン」を用意したのも、紙と電子それぞれの長所を使い分けてもらうためだ。全国の新聞販売店がWプランを担っている。


 電子版の軸は有料コンテンツにある。ネットには単なる噂や根拠の乏しい情報も多い。日経BP社やQUICK、テレビ東京などグループ各社も含めて取材と編集に総力を挙げ、優良な記事は有料で提供したい――そうした姿勢を読者が一定程度受け入れてくれたことも会員100万人到達の背景にあるのではないだろうか。


重みをかみしめ

 東日本大震災が発生した今年3月11日、電子版は「眠らないメディア」として24時間報道に当たった。紙の新聞には締め切りがあるが、電子版にはない。大津波による未曽有の被害、深刻化する東京電力福島第1原子力発電所の事故、さらには電力や交通といった生活情報まで、絶え間なく報じ続けた。それは今も変わらない。力強く復興に取り組む東北地方にも、電力不足の不安を抱えた首都圏や関西地方にも、電子版は確実に情報を伝える。それが電子版の使命だからだ。急激な円高や政治の混迷が日本を覆うなかで、新たな成長市場に挑む海外のビジネスマンにも、リアルタイムで情報を届ける。


 こうした電子版の活動を支えてくれている主役は読者だ。100万人会員の重みをかみしめて、今後も読者とともに電子版を育てていきたい。


(電子編集本部)

目的・場面に応じ使い分け 読者の声聞き機能充実

電子版の対応端末と使える機能

 読む新聞から使う新聞へ――。読者は日経電子版の様々な機能を使いこなし、仕事や暮らしに役立て始めている。新聞メディアが大転換期を迎えるなかで、電子版が提供するのは、読者がそれぞれの目的や利用場面に合わせて確かな情報を自在に活用できる新聞の新しい価値である。


 ■スマートフォンで手軽に 急速に普及が進むスマートフォン。電子版は読者の声に応え、創刊当初のパソコン、携帯電話からスマートフォンへと利用できる端末を増やしてきた。専用アプリケーションを使えば、あらかじめダウンロードした朝夕刊の記事を地下鉄など電波の届きにくい場所でも手軽に読める。7月末に始めた「ベータ版」サービスなら記事の検索、保存もできる。


 ■自分だけの新聞「My日経」 キーワードを登録しておけば関連ニュースがメールで自動的に届き、気になる記事はクリックひとつで保存。こんな便利機能「My日経」の利用度も高い。「得意先の情報を携帯電話で訪問直前までチェック」「就職活動で関連業界の情報を簡単にスクラップ」。活用法はまさに百人百様だ。


 ■独自コンテンツで深読み 電子版ならではの専門情報や深掘りした解説記事も着実に読者層を広げている。関心が特に高いマネー・マーケット情報では、7月に主要企業の四半期決算やアナリスト予想の平均値を算出したQUICKコンセンサスといった、電子版でしか読めないコンテンツを投入し、内容をさらに充実させた。豪華執筆陣による「ビジネスリーダー」の「経営者ブログ」も人気コラムの一つ。読者からの感想の投稿も多い。

有料会員ならもっと便利に

(2011年8月5日付 日本経済新聞 朝刊)
料金プラン一覧・お申込みはこちらから