稲盛和夫

九州の南端、鹿児島の田舎者が京の都に上って46年。郷里を後にしたのが23歳、京都暮らしは倍の年数を数えるまでになっ...

鹿児島市のほぼ中央に位置する城山は西郷隆盛終焉（しゅうえん）の地である。私はその城山の直下を流れる甲突（こうつき）...

稲盛家の泣き虫も小学校に入学することになった。1938年（昭和13年）の春だ。家からほど近い西田小学校の入学式に母...

鹿児島市立西田小学校の卒業が近づいてきた。1944年（昭和19年）の春、私は迷わず名門、鹿児島第一中等学校を受験し...

1945年（昭和20年）4月、鹿児島中学に入学した。1年遅れの中学だが空襲が激しく、勉強する雰囲気ではなかった。B...

1950年（昭和25年）、私は新制の玉龍高校の3年になった。親友の川上満洲夫君を中心とした玉龍チームが軟式で国体の...

1954年（昭和29年）春、鹿児島大学4年となり、卒業、就職が迫ってきた。朝鮮戦争の特需が一巡、雇用情勢は厳しくな...

1955年（昭和30年）、京都の松風工業に入社した。私は特殊磁器と呼ばれるニューセラミックス、その中でも特に高周波...

「こんなボロ会社早くやめよう」と思っていた松風工業で3年の月日がたった。ある時、パキスタンの低圧碍子（がいし）製造...

1958年（昭和33年）12月、松風工業を退社した。その翌日、同じ特磁課にいた須永朝子と結婚した。会社に寝泊まりし...

京都セラミツクを創業して3年目の1961年（昭和36年）4月末のことだ。前の年に入った高卒社員11人が突然、私の席...

京都セラミツクは創業当初は松下電子工業からの受注に支えられていた。この間に新しいユーザーを開拓しなければならない、...

1964年（昭和39年）4月、京都セラミツクは創業5周年を迎えた。28人で発足した会社は150人を数えるまでになっ...

1966年（昭和41年）4月、うれしいニュースが飛び込んできた。待望のIBM社向けIC用アルミナサブストレート（集...

IBMとの取引を契機に輸出が急増してきた。そこで、1968年（昭和43年）夏、貿易部長の上西阿沙（後に京セラ副社長...

私の郷里、鹿児島には工場が三つある。川内と国分、隼人だ。滋賀に次ぐ新たな工場用地を物色していたところ、鹿児島県の金...

「月商10億円を達成してハワイへ行こう」――このキャッチフレーズを作ったのは1972年（昭和47年）のことだ。前年...

1972年（昭和47年）、大阪歯科大学の川原春幸教授が私を訪ねてきた。「セラミックスで人工歯根をつくれないか」とい...

1975年（昭和50年）に日本一の高値をつけた京都セラミツクの株価は76年に入っても上昇を続けていた。証券会社の勧...

創立20周年を迎える1979年（昭和54年）は京セラにとって転機となる年だった。サイバネット工業が京セラグループの...

1981年（昭和56年）、「伴記念賞」を差し上げたいと連絡を受けた。東京理科大の伴五紀教授が技術開発で貢献のあった...

「京セラには創業以来、積み立ててきた手持ち資金が1500億円ある。このうち、1000億円を使わせて欲しい」。通信自...

1985年（昭和60年）6月、第二電電（DDI）に第一種電気通信事業の許可が下りた。いよいよ86年秋の長距離電話の...

バブル絶頂期の1989年秋、ニューヨーク行きの飛行機でソニーの盛田昭夫会長と乗り合わせた。後でわかったのは盛田さん...

1990年（平成2年）の暮れだったか、日本経営者団体連盟（日経連）の鈴木永二会長（三菱化学元社長）から突然、食事の...

1994年（平成6年）の暮れ、京都商工会議所の会頭だった塚本幸一ワコール会長に呼び出された。「京都の建都1200年...

京セラは創業間もない零細企業のころから歳末助け合い募金を行うなど社会貢献にも力を入れてきた。1997年6月、国立民...

1980年、私は京都青年会議所の青年経営塾で講演した。その二次会で若手経営者たちから、「どうしたら成功できるのか、...

20世紀もまさに終わろうとする2000年10月1日、国内第2位、世界でも十指に入る総合電気通信会社、KDDIが誕生...

1997年（平成9年）9月7日、私は京都・八幡の円福寺で得度、「大和（だいわ）」という法名をいただいた。師はこの臨...