松下幸之助

私の少年時代はむしろ小僧時代という呼び方が当たっているかもしれない。家運の傾いた家に育った私には幼いときの楽しい思...

火鉢屋の小僧をしている私の給料――といっても小遣いだが――は毎月1日、15日の2回に5銭ずつだった。しかし私が家にいた…

自転車屋の奉公は6年間、17歳のときまで続いた。このころ私は自分の進む道を一生懸命に考えた。これはいま考えるといささか…

24歳の春、私は電灯会社の検査員に昇格した。私の昇格は異例なほど早く、この検査員は工事人仲間にとって一つの出世目標だっ…

新しく移った大開町の家で、まず手がけたのは「アタチン」（アタッチメント・プラグ）であった。私の工夫したのは古電球の口金…

話は昭和の時代に入る。当時は電熱部門を設けたり、アイロンを造りはじめたり、先の砲弾型の代わりに今日の角型ランプを売り出…

ラジオ界への進出と同時に、乾電池を直営にした。昭和5年、ランプの需要はますますふえ、ランプは月20万個、電池は月100…

統制時代からやがて戦時へ。次第に資材や機械がなくなってきた中で、軍の生産だけはなんとか続けていた。このうち忘れられない…

私はかつて昭和31年に、この欄（「私の履歴書」）で、少年時代から戦後の会社再建にスタートするまでをお話ししたことがある…

オランダのフィリップス社との提携のことを書いてみよう。フィリップス社とは、昭和26年10月末から11月に、ヨーロッパへ…

フィリップス社との提携は、私にとって外国企業と合弁会社をつくる初めての経験だったが、経営の価値というものを考えさせる貴…

昭和27年2月、かねて親交のあった久保田鉄工の創業者、久保田権四郎さんがぜひ紹介したい人があるからといって、中川電機の…

松下電器の再建もようやく軌道にのってきた昭和31年、私は松下電器の5カ年計画を発表した。会社は5年後、こうなるのだ...

松下電器が貿易をやろうということを決意したのは戦前からのことで、私はすでに昭和7年に貿易部をつくっていた。しかし機が熟…

「岩戸景気」といわれる好況に支えられて、日本経済が順風満帆の成長を続けた昭和34年ごろから貿易の自由化、為替の自由化の…

私が会長になった翌年、つまり昭和37年の2月にアメリカの『タイム』誌が、私と松下電器のことをカバー・ストーリーで取り上…

昭和36年に、私は文藝春秋社から依頼されて雑誌『文藝春秋』12月号に「所得倍増の二日酔い」という一文を寄せた。大変な反…

さきに私は"所得倍増の二日酔い"という一文を『文藝春秋』に寄稿して、他力本願の高度経済成長の行き過ぎを警告したが、東京…

先に述べた過当競争ということについて、こんなことを思い出す。それは昭和39年10月のことである。松下通信工業でやってい…

業界安定のために、営業本部長代行という姿で取り組んできた私は、昭和40年2月、岡山県の倉敷国際ホテルで開かれた第3回関…

先に述べた過当競争ということについて、こんなことを思い出す。それは昭和39年10月のことである。松下通信工業でやってい…

週5日制実施後の初めての休日である4月17日に、私は、特に幹部社員を集めてその意義と心がまえについて所信を述べ、全従業…

いわば、"経済国難"ともいうべき不況から、日本経済がようやく立ち直りのきざしを見い出したころ、業界の競争は、いままでと…

松下電器が創業50周年を迎えた昭和43年は、くしくも日本の明治100年に当たった。この記念すべき年の初めに、突如として…

大正7年、小さな借家の土間で、ソケットづくりから始まった松下電器は、盛業のうちに、昭和43年5月、創業50周年を迎えた…

昭和43年10月、私はたまたま四国の高知県へ行く機会があった。関西の経済界が高知県の経済人と合同会議を行なったのに参加…

昭和46年4月、日本人の心のふるさとと言われる奈良の飛鳥を、官民相寄って何とか保存しようということで、財団法人飛鳥保存…

昭和45年の万国博のころから、健康を損ねることが年々多くなって、どことなく体が弱ってきたことが自分でも感じられるように…

今回の「私の履歴書」では、昭和25年7月に、会社再建への道を歩み始めてから、四半世紀に近い昭和48年末までの期間を述べ…